素材選び
ポイント
恒星球を造る素材はどう決めたらいいでしょうか?
重要なポイントは、
1)しゃ光性があること
2)穴あけがしやすいこと
3)肉厚が薄いこと
4)内側に相当する面が黒色になること(塗装しても可)
以上の条件をもとに素材を選ぶと次のようになります。
素材 |
プロット作業の容易さ
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穴あけの容易さ
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正確さ
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耐久性
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費用
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難易度
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備考 |
ボール紙 |
○
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○
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×
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△
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◎
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◎
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初心者向け |
黒ラシャ紙 |
○
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○
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△
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△
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○
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○
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大平1号機 |
アルミ板 |
×
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△
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○
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◎
|
△
|
△
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組立てが難関 |
アルミボール |
×
|
×
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○
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◎
|
△
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○
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一般的 |
天球儀 |
◎
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△
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△〜○
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○
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△〜×
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○
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ユニーク |
プラスチック板(黒) |
○
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○
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○
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○
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○〜△
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○〜△
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紙よりも耐久性など優れる |
リスフィルム |
○〜◎
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◎
|
◎
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○
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×
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×
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星数、精度追求の上級者むけ |
それぞれの特徴
・もっとも手がけやすいボール紙
ここで特にお勧めするのは工作用紙で、片面には桝目がふってあり、寸法を図りやすくなっています。文房具屋で簡単に手に入れることができ、ハサミとのりだけで工作できるので誰でもなじみやすいのがメリットです。当サイトの卓上プラネタリウム製作教室でもこの素材をもとに進めています。
穴あけはキリなどで行いますが、あとで穴がつぶれやすいので、できるだけ糊で固めるなどの対策が必要となります。
・より細かい星も作れるラシャ紙
ボール紙よりも薄手で、穴がつぶれにくく、かつ小さい穴まで表現しやすいのが特徴です。ただし薄いぶん強度は劣るので、恒星球に組み上げるには何らかの補強、骨格などが必要です。私の自作1号機はこのラシャ紙を使い、薄い桧材を骨格にしていました。
・耐久性のあるアルミ板
アルミ板を使うと、紙よりも耐久性があり、穴がつぶれる心配もほとんどなくなります。恒星球に使う場合、0.5mmあるいは1mm程度の薄手のアルミ板になるでしょう。薄いわりには強度があるので、骨組みも不要です。ペンチなどで自由に曲げられるのもメリットです。ただし、組立てるときに工作がめんどうなことと、そのままでは光を乱反射するので内面の塗装が欠かせないことなどを注意する必要があります。
・アルミボール
料理用などで売られているアルミボールです。似たものでステンレス製のものがあり、こちらは大変作業しにくいので注意が必要です。元々球形なので組み立てる必要がなく、形状的にも理想に近いといえますが、穴あけ、プロット作業なども球面で行わねばならず、作業がしにくいのが難点です。自作プラネでは定番ともいえる方法です。
・プロット作業が不要な天球儀
たくさんの星をプロットする作業が苦手というものぐさな人にお勧めの方法です。あらかじめ星がプロットされた市販の天球儀を使うので、正確かつ労力を省くことが可能です。ただし、天球儀は外側から見ることを想定しているので、投影した星空が裏表逆になってしまう(!)という大きな欠点があります。また市販品なので素材も限定され、かつ失敗すると買い直さなければならないという難点もあります。
・比較的無難なプラスチック板
プラスチック板を使うほかはアルミ板と同様です。厚手の素材で多面体を造るか、薄手をまるめて円柱形にするか、いずれも可能です。接着しやすい(材質による)こと、穴がつぶれにくいこと、加工しやすいなどのメリットがあります。ただし薄手の場合は骨格が必要となります。
・正確で複製もできるリスフィルム式
リスフィルムは一種の写真製版用フィルムです。感光しない部分は透明ですが、感光すると黒く光を透さなくなる性質があります。そこで、星の部分だけ透明になるように焼き付ければ、原板ができあがります。焼き付け用の原板さえ作ってしまえば、穴あけ不要で、かつ正確な投影をすることができます。また同じ原板から複製も簡単に作れるので、たとえば破損時も簡単に修復できます。ただし製作にはリスフィルムを扱うために写真処理の知識と器具が必要で、費用もかかります。
(リスフィルムは、大手の写真用品店、あるいはフィルムメーカー(富士写真フィルム、コニカ株式会社など)から購入することができます)
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